非日常の世界に誘う、放牧風景とブナの原生林
思わず手が届きそうな白い雲。真夏とは思えない爽やかな風が吹く。標高1100mを超える高原が広がる四国カルスト大野ヶ原。のんびりと草を食む牛を眺めていると、どこかやさしい気持ちになる。
大野ヶ原で最も標高が高い場所が、標高1,100m~1,400mに広がる石灰岩の大地「源氏ヶ駄場」だ。平家の残党が白い石灰岩を白馬に乗った源氏と見間違え退却したことが地名の由来とされている。そんな歴史もどこ吹く風。澄み切った大空の下、牛たちはのんびりと時を過ごしている。
水はけの良い石灰岩が広がる大野ヶ原では、かつて水の確保が問題であった。こうした人々の生活を支えてきたのが「ブナの原生林」だ。保水力が強く緑のダムともいわれ今もこの地域の人々や家畜の大切な水源となっている。原生林には約1.2kmの遊歩道が整備され、床下にはクマガサが茂り、季節によっては冷温帯の珍しい草花を見ることができる。さらに進んだ谷川には、美しい環境にしか棲まないサンショウウオの仲間が生息するという。清々しい空気と木漏れ日の中で、珍しい動植物ととともにマイナスイオンいっぱいの森林浴を楽しむことができる。