一歩足を踏み入れると広がる緑の世界
ここは、西予市宇和町にあるギャラリー喫茶「苔筵」。かつては樹木が生い茂る山だった場所を、オーナー自ら5年以上の歳月をかけ苔を植えて育てた。今も日々成長しているという苔は、四季折々で違った表情を見せてくれる。
なかでも、雨上がりの苔の輝きは一見の価値がある。雨露のかかった苔に樹々の間から差し込む光が当たり、幻想的な雰囲気を醸し出す。
オーナーの愛情が詰まった苔を踏まないように気を付けながら、敷き詰められた踏石を歩き奥へと進んでいく。かつては棚田だった石積みに広がる苔や栽培が難しいとされるクマガイソウなどの山野草も見ることができ、山歩きをしているかのよう。敷地内にはカエルや七福神など趣向ある置物も鎮座しているため、探してみるのもおもしろい。
遊歩道を歩いていくと、周囲の自然と調和した木造の喫茶店舗にたどりつく。「本日は気分がいいので営業します」と書かれた看板には、脱サラし自由を謳歌するオーナーらしいユーモアが光る。